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sweet rain

 菩提樹寮の玄関ホールに飛び込んで、かなでは大きく息を吐き出した。
「びしょ濡れになっちゃいましたね」
 その隣で東金は手で水を払いながら応える。
「天気予報は大はずれだな」
 ドアの向こうでは、さっきよりも雨脚が強くなっているようだ。雨が屋根を叩きつけている音がどんどん大きくなっている。
 視界にかなでの手が入ってくる。振り向くと、かなでのハンカチを握った手が東金の濡れた顔を拭こうとしていた。
 それが届く寸前に手の甲で止める。
「いい。そのくらいじゃ拭けない。それにお前も同じように濡れて………」
「じゃあ、タオル取ってきます!」
「待て!」
 すぐに駆け出したかなでを制止する。
 振り返るかなでには、ちょっとむっとしている。良かれと思ってやろうとしていることを止められたのだから無理もない。
 その様子にちょっとだけ苦笑しながら、東金は制止した理由を述べる。
「タオルを持ってきてくれのはありがたいが、その前に自分も同じだけ濡れてることを考えろ。まずは自分を拭くべきだ」
 言われて初めてそのことに思い至ったのか、かなではちょっとだけ目を大きくする。
 しかし、やはりと言うべきか、なんと言うべきか、その先のことには自分では思い至らないようだ。東金は苦笑ではく、含みを持たせた笑みに変える。
  さすがに、表情を読みとるのは素早い。目に警戒の色が走る。
「とは言え、タオルで拭いてどうにかなるような濡れ方じゃないからな。服も着替えた方がいい―――俺を誘ってるつもりなら、止めないが」
 途中から、服が透けていることに気づいたのだろう。頬を赤くして、自分の身を両腕で隠す。東金もそれがわかっていて、最後の言葉を加えた。
 今や、かなでの顔は真っ赤である。
「へへへ部屋に戻ります!」
 さっきよりも素早くかなでは踵を返す。
 その背中に、東金は声を掛ける。
「着替えたらラウンジで紅茶でも飲んで暖まるぞ」
 かなでは向こうを向いたまま、こくんと頷いた。
 頷いたかなでに、東金は満足そうに微笑んだ。

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ちょっとだけ、オトナな感じかと思ってたけど、ドルチェイベント見てたらこんなの大したことなかった。東金じゃ無いけど、かなではからかってると面白いなぁ………。
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