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キスなんて、初めてじゃない。
これまでに何度も何度もキスをしてきたのに。
どうしてこんなにドキドキするんだろう。
初めてキスをした時のよう。
ヴェールをそっと上げると香穂子が潤んだ瞳が見上げている。
純白のドレスは、教会という場所で白さを増して輝いているようだ。
眩しさに少しだけ目を細める。
今日という日を迎えるまで、いろんなことがたくさんあった。
出逢って好きになって、一緒にいるようになって。
それはとても幸せなこと。
だけど、楽しいことばっかりじゃなかった。
喧嘩もしたし、不安になることもあった。
それでも、一緒に今日を迎えた。
これからも一緒にいることを決めたから。
楽しいことも、嬉しいことも、哀しいことも、全て共に受け止めると決めたから。
だから。
ゆっくりと香穂子の顔に自分の顔を近づけていく。
香穂子が静かに瞼を伏せた。
このキスがドキドキするのは、いつものように想いを伝え合うだけのもではないからだ。
これは誓いだから。
ずっと一緒にいるという、誓いのキス―――。
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